上記テーマを推進するために必要な以下の5つの要素技術についても研究を行っています。
1.ツイン型大気圧プラズマ表面改質技術
フレキシブル電子デバイスのベースとなる樹脂フィルムを対象に、高速・高機能処理を目指した「ツイン型大気圧プラズマ表面改質技術」に関する研究に取り組んでいます。プラズマを生成するための電極構造や材質、プラズマ生成用のガス種や電源周波数、電源出力条件などに対する表面改質効果(濡れ性、静電気、表面組成など)を詳細に調査します。
※当研究室のオリジナル設計(春日電機㈱ 様より導入)
2.接着剤レス接合技術
さらなる電子デバイスの小型化や軽量化、接着剤起因の課題解決を目指して、上記大気圧プラズマ表面改質技術を応用した「接着剤レス接合技術」に関する研究に取り組んでいます。モーター用電気絶縁材、包装用ガスバリアフィルム、回路材など対象は幅広いです。
3.液中プラズマによる活性液体生成技術
液中プラズマによる「金属微粒子含有活性液体の生成技術」に関する研究に取り組んでいます。
※金属微粒子含有の活性液体の一例
4.非晶質炭素膜による微量金属徐放技術
非晶質炭素膜に金属元素を導入し、その金属元素を膜外に少しづつ放出する「微量金属徐放技術(ナノリリース)」に関する研究に取り組んでいます。炭素のsp2/sp3結合比率、膜厚、金属元素の含有量などを調整することで精密な金属徐放制御を実現します。医療用インプラントデバイスや抗菌・抗ウィルスデバイスなどへの応用を検討しています。
5.非晶質炭素膜による水素ガス吸着技術
貴金属レス、室温動作可能な水素ガスセンサの実現を目指して、水晶振動子マイクロバランス(QCM)型のガスセンサデバイスの開発に取り組んでいます。このQCMガスセンサは、QCM素子に吸着したガス分子量(共振周波数)の変化を計測します。当研究室では、資源が豊富であり、膜質制御性の高い非晶質炭素に着目し、効果的に水素ガスを吸着させるための「水素ガス吸着技術」に関する研究に取り組んでいます。
※水晶振動子マイクロバランス法を適用した水素ガスセンサシステム